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2008-02-01

『蒼穹の昴』

イタリア大好きの友人に、東京出張の際久しぶりに会ったら、
「実は最近中国に興味があって・・・」なんて話になって、
お互いに興味を持つものやその時期が妙にリンクしていてびっくり!


蒼穹の昴(1) (講談社文庫)蒼穹の昴(1) (講談社文庫)
(2004/10/15)
浅田 次郎

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その友人のお勧めで読んでみた、初の浅田次郎作品。
『蒼穹の昴』

あ、ちなみに私、この時期の歴史の知識は高校世界史の教科書レベルしかありません。。。
偉そうなこと書いちゃってますが・・・、
すみません、ご容赦を!先に謝っておきます。

以下、思いっきりネタばれ注意!
確かに1巻は面白い!
主人公の、極貧の少年、春児と、学問を修めながらも型破りな青年、梁文秀。
この二人が、宿命を告げる占い婆の白太太の予言に導かれるように、
一方は宦官として、一方は科挙状元の秀才として高級官僚の道を歩む事になる。

科挙や宦官の制度、少数の満州族が多数の漢人を支配するという清王朝の歴史、
時代を遡り、乾隆帝や郎世寧ことジュゼッペ・カスティリオーネを登場させるなど、
壮大な道具立てが満載でかなり期待してしまった。

白太太の予言はやりすぎかなあという気もしたが、
まあ、特に中国史に興味の無い読者を引っ張り込むには
これくらいの外連味も必要かと言い聞かせつつ読み進む。

が、2巻辺りからちょっと雲行きが怪しくなってくる。

清朝が列国に浸食されてゆく時代の動乱の中、
大将軍、李鴻章や、欧米化を説いた康有為とその弟子、譚嗣同、
袁世凱ら実在の人物。
文秀と共に国を憂う科挙同期の若者、傍眼の順佳、探花の王逸、
客観的に観察する役割の二人の新聞記者、日本人、岡圭之助と
アメリカ人のトーマス・バートン、西太后の孫ミセス・チャン等々。

次々と登場する実在、架空の登場人物達の中で
本来の主人公二人は完全に埋没していってしまう。

春児は落ちぶれた宦官たちの暮らす老公胡同にいた頃は面白かったのに、
故宮に上がってからはただのいい人になっちゃうし、
文秀に至っては最初の頃のやんちゃな感じが影を潜め、ただの優等生、憂国青年。
『光緒十二年の状元』の肩書きすら空々しく響く。

ついでに白太太はしゃべりすぎ!!
王逸への予言はともかく、今後の玲玲と文秀の関係を匂わせたり、
春児への予言が嘘だったことを早々にばらすのはいかがなものか?


中でもどうにもいただけなかったのが、西太后。

乾隆帝によって王朝の幕引きという重責を背負わされた、
確信犯的悪役のはずの西太后が、結局はただの愚かな女にしか見えない。

公私で言葉遣いを変えて書かれているのだが、この「私」の時の言葉遣いがひどい。
地位や年齢にさえ見合わない、そこらへんの、ただのおばかな我侭娘にしか思えない。
しかもろくでなしの昔の恋人や、李連英にいい様にふりまわされているし・・・。

こんな女に重責を担わせようとするなんて、乾隆帝の目が曇っていたとしか思えん!

そして「光緒帝を本当に愛していたので、苦労をさせたくなくて実権を譲らなかった」
という設定に至っては、正直勘弁して欲しかった。
本当に西太后が素晴らしい女性で、母として光緒帝を愛していたなら、
息子が変革の理想を持って国事にかかわることを望むのなら、
たとえそれが滅びの道であっても(まあ、滅ぼせ、と言われているんだけど・・・)
望むようにさせてやるんじゃないかと思う。

「怪我をするからお外で遊んじゃいけません」って、
愚かな母親の発想じゃないですかね?

本当に光緒帝を愛していたなら、彼の能力を認めていたのなら、
何もさせないなんて、生殺しのような選択はありえない。
「自分の子、同治帝に似た容姿でありながら、聡明な彼を結局は心の底から
愛することはできなかった」ぐらいの設定の方がよっぽどしっくりくる。

いっそ西太后に関しては最小限の描写に留めて、
心の奥底は計り知れない・・・位にしておいたほうが良かったのではないだろうか。
そのほうが西太后に仕える春児のポジションも、もっといきてきたと思うんだけどなあ。

それに西太后に使ったページを本来の主人公、特に文秀を書き込むのに使ってもらえば、
前半と後半がこんなにちぐはぐにならなかったと思う。


・・・なんて、長々と文句ばかり書いてしまいましたが、
全体的には面白く、結構やられたなーーー、って所も多い。
充分水準以上の作品だと思います。

1巻での期待が大きすぎたので後半の点が辛くなってしまったとご理解下さい。

うーん、まあ、でも浅田次郎という作家の名前だけで本を買う、
って所までははまりませんでしたね。
でも同時代の中国を舞台にした(というか、続き?)
『珍妃の井戸』と『中原の虹』は読もうと思っています!!
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comment

管理者にだけメッセージを送る

確かに!

『蒼穹の昴』、知りあいに勧められて読みました!
確かに前半はワクワクしますよね!
『珍妃の井戸』のラストはちょっと泣きました。
多分、歴史的事実に泣かされたというより、
言葉にやられた感じです。
『中原の虹』は完結したら読もうと思ってます。

歴史モノって難しいんですね~。

…それから、スレ違いでごめんなさい!
やっと私もおウチが出来ました!
http://akichi24.blog103.fc2.com/
何のおもてなしも出来ませんが、
良かったら遊びに来て下さいね!

これ結構好きですよ…

そうですか~。
他に『壬生義士伝』くらいしか読んでないですが…、
浅田次郎は読みやすいので割とファンです。
確かに後半春児の出番が少なくて
残念だった記憶がありますが…、
なんだか怒涛の勢いで読破しました。
梁文秀も好きでしたね~
あああ、つくづく私ってミーハーだな~
『中原の虹』楽しみですが文庫化待ちです。

>阿吉さんへ

祝!!ブログ開設おめでとうございます!!
早速おじゃまさせていただきました!
素敵なお家ですね~。
リンクさせていただきます!
これからも度々おじゃまさせていただくと思いますので、
宜しく御願いします!

>『蒼穹の昴』
始めに盛り上がりすぎて後半失速しちゃった感じですよね。。。

>『珍妃の井戸』
こっちはミステリー調の、なかなか趣向を凝らした構成で面白かったですねー。
最後、光緒帝のところは私もホロリときましたよ!
でも、うーーーん、事件の真相は結局。。。そうなの??

>ふたばさんへ

>浅田次郎は読みやすいので割とファンです。

私も読みやすかったので一気に読みました。
面白いだけに、なんだか主人公二人が埋没したのが残念で。。。
どうしても西太后に使ったページを二人に使って欲しかったと思っちゃうんですよ。

>『中原の虹』
私も文庫化待ちです。v-356

後半のペースダウン

或る意味、天龍八部と同じ失敗に陥ったのかも。
上巻で広げ過ぎた(スケールが大きくなった、という意味です)話を、
結局下巻(後半)で纏め切れなくなったように感じます。

上巻のペースのままで終わっていれば、芥川賞、取れたかも知れ
ませんね。

>左使・万里独行さんへ

架空の主人公達が歴史上、実在の人物達の存在感に負けちゃった感じですね。
『中原の虹』 が続編のようになっているという噂を聞いたので、
こっちでキチッと風呂敷がたたまれるのを期待です!
プロフィール

まや

Author:まや
読書、映画&ドラマ鑑賞、旅行、お絵描きが趣味。
ジャンルとしては歴史、文学、美術が好き。
今までヨーロッパが興味の対象だったのが、最近はユーラシア大陸を東進して中国に興味津々です。

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