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2008-05-10

イタリア映画祭2008 「副王家の血筋」

大幇会参加のついでと言ってはなんですが、
イタリア大好き仲間である、Y子さんに誘われて、
2008年5/1(木)~5/6(火)に東京の有楽町朝日ホールで開催された

「イタリア映画祭 2008」にも行ってきました!

私が見たのは5/4の10:20から上映された『副王の血筋』

前日の大幇会で、調子に乗って二次会まで参加したためすっかり寝不足。
二時間もある歴史物なので、正直、あんまりタルいと、
映画観てるうちに寝ちゃうかも・・・、と心配していたのですが、
なかなか面白くて、お目目パッチリのままエンドロールまで見てしまいました。

italiaeigasai


2007年/イタリア作品 
120分 
監督:ロベルト・ファエンツァ(Roberto Faenza)
主演:アレッサンドロ・プレツィオージ(Alessandoro Preziosi)
ランド・ブッツァンカ(Lando Buzzanka)
クリスティーナ・カポダンディ(Cristina Capotondi)

原題は『 I Vicere'』
「副王たち」とでも訳せばいいでしょうか。

あらすじは・・・

19世紀半ばのシチリアは、ブルボン王朝の支配を経てイタリアに統一されようとしていた。
かつてのスペイン副王の末裔、ウゼダ家では、きわめて封建的な父親と
息子コンサルヴォが、優しい母や妹、親友を巻き込みながら激しく対立し、
その周囲でも果てしない権力争いが繰り広げられる。
フェデリコ・デ・ロベルトの古典小説を元に、ヴィスコンティが「山猫」で描いた時代に
現代イタリアを折り重ねながら、ファエンツァは豪奢にシニカルに、
愛憎と欲望と情熱と政治と理想と迷信の入り乱れる、優雅で滑稽な家族劇に仕上げた。

「公式ホームページより」


数年間イタリアで生活していた友人は勿論、私も、元々イタリア大好きで、
その歴史や文化にも興味を持っていたのでかなり楽しめたのですが、
イタリアという国が成立する過程、というかイタリアの通史を全く知らないと、
この映画を理解するのはちょっと難しいかも・・・。

映画の背景となるイタリア統一運動、リソルジメントの時代というのは
まあ日本で言うと幕末から明治維新、地方自治とも言うべき幕藩体制から、
中央集権的な日本帝国政府に権力が移行していく・・・、
そんな時代をイメージしていただくといいかもしれません。
年代的にもほぼ同時代です。


さて、リソルジメントの怒涛に巻き込まれたシチリア貴族の物語と聞いて、
まず思い浮かぶのは、先述のようにジュゼッペ・トンマージ・ディ・ランペドゥーサの
小説を元に、ルキーノ・ヴィスコンティが1963年に映画化した、『山猫』でしょう。

山猫 (河出文庫)山猫 (河出文庫)
(2004/10/05)
ランペドゥーサ

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ランペドゥーサもヴィスコンティも、共に名門貴族の出身です。

今日のようにCG技術が発達してしまうと、逆に、もう、
これほどまでに本物嗜好な、貴族的な映画を撮る監督はでないでしょうね・・・。

山猫 イタリア語・完全復元版山猫 イタリア語・完全復元版
(2005/06/25)
バート・ランカスター、アラン・ドロン 他

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『山猫』が旧支配層である土地貴族と新興するブルジョワジーとを対比させつつ、
衰退してゆく貴族の代表である主人公、サリーナ公爵をある種の諦観とともに、
現状を受け入れ勇退を決める高潔な人物として、美的に描いたのに対し、
『副王家の血筋』は同じ旧支配層であるウゼダ家の人々をより現実的な姿、
富や権力に執着する姿を、俗物的で醜悪にさえ見えるように描いています。


強権的な父親を子供の頃は恐れ、成長してからは対立し反抗を繰り返しながらも、
結局は貴族階級の、血族の枠からは抜けきることのできない主人公コンサルヴォ。
そんな彼も政治体制の激変する動乱の時代をしたたかに生き抜く狡猾さを身につけ、
いつしか「権力」というものを強く意識し、行使するようになっていきます。

富や権力に執着し、憎悪が人を強くさせると信じ、常に家族を支配しようとしながらも、
実は息子を恐れている、心弱い父親、ジャコモ。
コンサルヴォの親友との恋を貫く勇気を持ち合わせず、愛のない結婚さえも
殉教者のように受け止めて、与えられた環境に順応して生きてゆく妹テレーザ。

彼らを取り巻く、様々な個性を持つ血族の人々も又、
それぞれの愛憎や欲に悩み、苦しみ、したたかに、図々しく生き抜いていて、
妙にリアリティを感じました。

フェデリコ・デ・ロベルトの原作小説『 I Vicere'』 は、1894年の作のようですので、
物語は作者自身が実際に見、聞き、生きた時代を書いた物だったのでしょう。
そして彼が作中で描くイタリア統一の混乱、教会の腐敗、
ガリバルディの赤シャツ隊、強固な血族意識、等々は
当時の読者には非常に身近に感じられる内容だったろうと思います。


それから印象的たっだシーンは幾つもあるのですが、
コンサルヴォがローマからシチリアに戻る船の上で、
出会った少女と交わす会話の、

「君はシチリア人かい?」
「いいえ、イタリア人よ」

これは最後に年老いたコンサルヴォがつぶやく台詞、

「イタリアは生まれた、しかし、イタリア人はいつ生まれるのか」
と、上手くリンクしていて巧い構成だと思いました。
この台詞には、ちょっとジーンときたりもしました(^^;


実のところ今日のイタリアでも、
「イタリア人はいない、ミラノ人、ヴェネツィア人、フィレンツェ人、
ローマ人、ナポリ人等々がいるだけだ」と言われるほど、
イタリア人のカンパリズモ(郷土主義)の強さは有名で、
イタリアの政治的混乱の背景となることも度々・・・。

ある意味現在のイタリアのあり方への痛烈な皮肉ともとれる内容で、
実際イタリア本国では賛否両論の物議を醸した話題作だそうです。
ただチラッとみたイタリアのサイトでの評価は、それほど高くないようでしたが・・・。

私は近年の歴史ものにしては、人物と要素をつぎ込みつつも、
上手く2時間の枠に収めているし、映像も華美さはないものの、
綺麗にまとまっていると思ったのですがね・・・。

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ところで、本作とは直接関係のない話なのですが、
映画が終わった後、客席の一部から拍手がおこりました!

日本だと演劇やコンサートのようなライブものでない限り、
映画なんかで拍手する人はきっといないと思うのですが、
イタリアではこうした時にも、自分が良いと思えば拍手するよなあと、
今更ながら感心した次第です。

勿論拍手していたのはイタリア人だけというわけではなく、
イタリアナイズされた日本人が殆どだったわけですけれど・・・。
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プロフィール

まや

Author:まや
読書、映画&ドラマ鑑賞、旅行、お絵描きが趣味。
ジャンルとしては歴史、文学、美術が好き。
今までヨーロッパが興味の対象だったのが、最近はユーラシア大陸を東進して中国に興味津々です。

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